視覚障害者自動車運転ツアーのご案内

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視覚障害者が“自分で運転”に挑戦する自動車運転体験ツアーを開始

視覚障害のある方が運転という行為を疑似体験することで、クルマの動きや運転者の視点、交通の仕組みを身体感覚として理解し、日常の外出や移動、さらには交通安全への意識を深めることを目的として企画・実施いたしました。本ツアーでは、安全管理を最優先とした環境のもと、専門知識を持つインストラクターや学生ボランティア、関係者が連携し、参加者一人ひとりが安心して挑戦できる体験の場を創出しました。本報告書を通じて、本取り組みの意義や参加者の気づき、今後の可能性を共有し、誰もが安心して外出できる社会の実現に向けた一助となれば幸いです。

2025年12月に行われた自動車運転ツアーでの集合写真

1. 本プログラムの主な特徴(3社連携の強み)

① 視覚障害者でも安全に運転可能な特別プログラムを設計 会場となった栃木県中部自動車学校では、全館貸し切りで実施。助手席には専任のインストラクターが同乗し、緊急停止装置を備えた教習車で走行を行いました。走行前には、ハンドル操作やペダルの位置確認、車体サイズの把握など基礎講習を実施し、初めての方でも安心して参加できる環境を整えています。プログラムでは、直進走行に加え、右折・左折、バック走行など段階的な運転体験を実施。視覚情報に頼らず、音や振動、インストラクターの声を頼りに運転することで、参加者は運転操作の難しさと同時に、運転者視点での交通安全の重要性を体感しました。


② 若者中心のサポート体制で“心のバリアフリー”を推進
移動や生活面のサポートには、国際医療福祉大学・視機能療法の学生を中心とした手引きボランティアが参加。視覚障害者との関わりを実体験として学ぶ機会にもなり、学生にとって、障害理解を深める貴重な場となりました。学生からは「普段はなかなか視覚障害者との接点が少ないため、学校では学ぶことのできない大変貴重な体験になった」「視覚障害がある方々のチャレンジのサポートができ、自分自身も大きな勇気をもらった」といった声が寄せられ、最終日の振り返りでは大きな達成感と感動が共有されました。


③ 夢の実現と交通安全を両立する新たな取り組み
ツアーは、視覚障害のある方の「一度でいいから運転してみたい」という長年の夢を叶えることを目的とするだけでなく、交通安全の意識向上という社会的課題にも向き合う新たな取り組みです。視覚障害がある方が実際に運転者の立場を体験することで、自動車の構造や操作の難しさ、歩行者や周囲への配慮の重要性を体感的に理解することができます。これは、日常生活における安全な外出や道路利用にもつながる学びの機会となります。また、本プログラムは「できない」と決めつけるのではなく、「どうすれば安全にできるか」を考える共生社会の実践でもあります。


④ 中級・上級コースも設置し、継続的なチャレンジを支援
最終日の検定に合格すると、中級・上級・マニュアル車走行へのステップアップが可能。年間3~4回の開催を予定し、成長実感を得られる環境を提供します。

2. 三社連携の経緯

日本介護システム株式会社は「視覚障害者が安心して外出・旅行できる社会の実現(ユニバーサルツーリズムの推進)」を掲げ、日頃から外出 支援とバリアフリー旅行を手掛けています。一方、オートテクニックジャパンと栃木県中部自動車学校は、地域の盲学校に対する交通安全講習 を実施してきました。 両者の“交通安全への思い”が一致し、「視覚障害者が運転者視点で自動車の性能と安全を理解する学びの場をつくろう」という共通目標の もと、本企画が実現しました。


3. 盲導犬受け入れに関する課題と今後の取り組み

ツアー(2025年12月)で利用したすべての飲食店で、盲導犬ユーザーの利用に対し、不適切な対応が見受けられました。これらの対応は、明確な悪意によるものではなく、盲導犬に関する正しい知識や制度理解の不足、いわゆる「無知」から生じているケースが多いと考えられます。しかしその結果、視覚障害者の外出や社会参加の機会が制限されてしまう現状は、看過できない課題です。私たちは本活動を通じて、盲導犬はペットではなく、視覚障害者の安全な移動を支える補助犬であること、飲食店を含む公共の場での受け入れが法的にも求められていることを、分かりやすく伝えていく必要性を強く認識しました。今後は、本事業を単なる体験型プログラムにとどめず、飲食店や地域社会に向けた啓発活動にも取り組み、誰もが安心して外出できる環境づくりを次回以降の重要な課題として位置づけてまいります。