いつまでも自分らしく、より豊かな人生をおくっていただくために

トップスマホ

  • TOP
  • >
  • 地域トラベルサポーター養成講座で何が学べるの

地域トラベルサポーター養成講座は、何を学べるのか。

テキストは、要介護高齢者及び、障がいがある方等で旅行中に配慮(介助)が必要な方が、より安全で快適な旅をしていただくために、必要な身体等の介助を行なう人材を養成するために制作しています。また、観光や福祉関係の従事者で、これから新たに、障がいがある方の旅行に関わろうとされている方のために、最低限知っていただきたい「要介護高齢者や障がい者旅行に関する基礎的知識」をまとめています。「要介護高齢者や障がい者旅行に関する基礎的知識」は、旅行、まちづくり、福祉などの様々な分野と相互に関連があり、それらを関連づけて体系的に学ぶ必要があります。
地域トラベルサポーター研修テキスト
このテキストを通して、効率的に知識とスキルを習得していただけると考えています。そして、ユニバーサルツーリズム発展のために、今後欠かせない「地域(着地型)トラベルサポーター」をひとりでも多く輩出し、(1)旅行中における要介護高齢者への必要な介助(身体介助を含みます)で、より安全で快適な旅を提供、(2)サービス利用者の旅行における経済的負担改善、(3)受入れ地域における新しい雇用の創出、(4)受入れ地域の介護事業所との連携(新規事業の創出)を推進していきたいと考えています。

座学研修

座学研修の様子
オリエンテーション

①講師・自己紹介
②地域トラベルサポーター(養成講座)の活動趣旨説明
③講座内容説明(何を学べるのか)
④受講生・自己紹介(思い・意気込み等/ひとり1~3分

1

ユニバーサルツーリズムの基礎
 
第1章では、ユニバーサルツーリズムを学ぶ意義、その基本理念、そして、それまでの歴史的背景(年表)について述べてあります。
 
はじめに…私たちが目指すユニバーサルツーリズムとは?
➀障害者白書及び高齢者白書内で、高齢者・障がい者の旅行・外出等に関するデータ等の確認
②障がいがある方にとっての「旅の効能」について意見交換
③ユニバーサルツーリズムに関する基礎概念について
➃日本におけるバリアフリー旅行環境の改善・変化の歴史について学ぶ
(専用年表を使用します/1946年→2025年)
⑤共用品って、ご存知ですか?

2

ユニバーサルツーリズムの現状
 
第2章では、ユニバーサルツーリズムの受入側の実際について学びます。旅行は、様々な交通機関や宿泊施設、観光施設を利用します。それぞれの場面において建築・設備の「ハード面」と人的サービスや福祉・医療面における「ソフト面」の組み合わせとなります。私たちの旅行環境は、まだまだ完全なバリアフリー化は実現しておりませんが、現状を知ることはとても重要なことだと考えております。
 
はじめに…バリアフリー法の進捗状況を共有します
➀宿泊施設のバリアフリー化への取り組み
②観光施設のバリアフリー化への取り組む
③交通機関(航空会社・鉄道・船舶・タクシー等)のバリアフリー化への取り組み
➃旅行会社のバリアフリー化への取り組み
*ハンドル式電動車いすの公共交通機関利用について学びます
*具体的な施設・団体の活動を紹介しながら講義を進めます。

3

障がい別における旅行ニーズ&対応
 
第3章では、ユニバーサルツーリズムの主な対象となる人とそのニーズについて、様々な角度から説明していきます。ここで学んでいただくことは、対象となるお客様は、“様々”であること、それぞれのお客様が旅行に対して異なるニーズがあることです。また、お客様の理解を深めるために、生活的背景についても説明をしています。
 
以下の疾病・障がいに関する旅行ニーズを学びます。
(1)高齢者
(2)肢体不自由者
➀対麻痺の車いすユーザー
②片麻痺の車いすユーザー
(3)視覚障がい者
(4)聴覚障がい者
(5)内部障がい者
➀人工透析患者
②在宅酸素療法患者
③人工呼吸器利用者(呼吸器疾患等)
➃糖尿病
⑤心臓ペースメーカー
を主に学びます。

4

ユニバーサルツーリズムの社会的資源
 
第4章では、ユニバーサルツーリズムに関する法律的事柄や諸制度について学習します。実務面でバリアフリー観光に携わる場合でも、これらの法律や制度の現状を知らずに業務を進めるわけにはいきません。
また、障がい者割引の適用を詳しく知ることで、旅行代金を抑えながら旅を実施できるようにしたいと考えており、現状の割引制度やお得に旅をするコツを学びます。

実地研修

高齢者疑似体験
高齢者疑似体験2

肢体不自由者や要介護高齢の方々の目線に立つことの重要性を体感することです。相手を理解するためには、相手と同じ視線で考えることの大切さや、相手を思いやる気持ちを養うプログラムです。老人性難聴を体験するための耳栓、白内障を体験するための特殊メガネ、筋力低下や関節の動きにくさを体験するための手足に装着する重りやサポーターなど身に付けることにより、高齢(75~80歳位)になった時の身体的機能低下や心理的変化を、疑似的に体験するものです。


*高齢者疑似体験キット(本プログラムでは、片麻痺体験ですので片腕の拘束があります)

視覚障がい者疑似体験
視覚障がい者疑似体験2

(1)見えない世界体験・・・アイマスクを使用して、「見えない世界」での歩行(平らな道、階段等)や指先の感覚(日本円硬貨)を体験していただきます。「見えない」障がいの「不安感」や「不便さ」を体感していただくだけでなく、視覚以外から得られる情報を活用する体験をすることも目的としています。
(2)見えにくい世界体験・・・「視覚障がい者=全盲」という間違ったイメージを払拭し、視覚障がい者の殆どが、「見えにくい」障がいである方ということを理解し、「不便さ」や「不安」を体感していただくプログラム。❶視野狭窄、❷白内障、❸中央暗点、❹角膜の黄変の症状のある方等が、どのように見えているかを体験。


視覚障がいがある方々の目線に立つことの重要性を体感することです。また、「視覚障がい者=全盲」という誤った考えがある方に対しては、「様々な見えにくさ」を体感していただくことで、街中でのお声がけの内容が改善されます。相手を理解するためには、相手と同じ視線で考えることの大切さや、相手を思いやる気持ちを養うプログラムです。

■色んな見え方体験

視覚障がい者疑似体験

視野狭窄体験
専用メガネを掛けて、床に貼ったテープに沿って歩行していただきます。視野狭窄の方は足元に視線が集中してしまうため、足元以外の障害物に接触する危険があります。白杖をつき、周りの安全を確認しながら歩行します。
視覚障がい者疑似体験

全盲体験(硬貨確認)
硬貨(100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉)のそれぞれの違いを理解して、指定した金額を財布(紙皿)の中から取り出します。制限時間を設け、店頭で支払いをすることを想定した体験です。
視覚障がい者疑似体験

白内障体験
中高年から症状があらわれます。80歳以上の方の9割が白内障だと言われており、天候や時間帯によって周辺の見え方が異なります。白内障により普段見えているものがどのように見えるかを確認します。
視覚障がい者疑似体験

中心暗転体験
中心(見たいもの)が見えにくい状態を体験していただきます。視野狭窄と比べて、視野は広いですが、視点を合わせるための動作(無駄な動き)が多くなるためストレスを多く抱えます。
視覚障がい者疑似体験

角膜黄変体験
白内障同様、中高年から症状があらわれます。天候や時間帯によって周辺の見え方が異なります。角膜黄変により普段見えているものがどのように見えるかを確認します。
視覚障がい者疑似体験

全盲体験(歩行)
2名1組になって、交互に体験をしていただきます。予め設定をした➀階段、②坂道、③細い道、➃その他障害物などの課題コースに沿って歩行体験をしていただきます。見えない恐怖感を体験するのではなく、視覚以外の感覚を使いながら周辺の安全を確かめながら、移動することの難しさを体験していただきます。

■ボードゲーム「チーム3」体験

チーム3
ボッチャ

ボッチャは、手脚に麻痺や機能障がいのある比較的重度な障がい者のために座ったままでも行えるスポーツとして考案されたパラリンピック特有の競技ですが、健常者とも一緒に楽しめるスポーツとして、ボッチャ競技の魅力とルールを学んでいただきます。また、時間が許す限り、参加者全員が、ボッチャ競技を体感していただきます。


ボッチャは、手脚に麻痺や機能障がいのある比較的重度な障がい者のために座ったままでも行えるスポーツとして考案されたパラリンピック特有の競技ですが、健常者とも一緒に楽しめるスポーツとして、ボッチャ競技の魅力とルールを学んでいただきます。
 
【ボッチャとは】 赤または、青の皮製ボールを投げ、白い的球(まとだま/目標球)にどれだけ近づけられるかを競う競技で、東京2020パラリンピックの公式種目となっており、全世界で40カ国以上に普及しています。競技は個人、ペアないしは3人1組のチームで行い、男女の区別はなく、国際大会ではBC1〜4のクラスに別れて行われる。このほか、これらに該当しない者のオープンクラス(車椅子と立位)も日本独自で設定されている。 障がいがない人でも楽しめるスポーツとして、国内でも大変人気があります。ボッチャについては、そのルールが氷上で行われるカーリングと似ているところから、「地上のカーリング」とも呼称されています。

車いす介助

(1)本プログラムでは、車いすユーザーの方が日常生活で不便に感じていることを、車いす体験を通じて理解していただきます。また、車いすユーザーと言っても➀対麻痺、②片麻痺、③ご高齢のためなど様々な障がいがある方がいることを理解していただきます。
(2)車いすを押す経験は、あまりないかと思います。車いすの正しい押し方を学んでいただきます。
 
車いすユーザーの立場になることで、不便なことや困っていることを理解します。私たちが、車いすユーザーに対しての配慮すべきポイントや生活環境はどのように変わらなければならないかを考える機会を作ります

車いす介助2

2020年以降の障がい者及び要介護高齢者の旅行の中心は、個人旅行化が進み、旅行介助は『地域トラベルサポーター』が担うことが予想されます。地域トラベルサポーターのメリットは、『①旅行代金の負担が少なくてすむ』、『②観光地のバリアフリー旅行情報に詳しい』、『③ちょっとした介助に対応できる(入浴介助など)』などが挙げられます。認知症患者の外出支援等、活動の範囲は旅行業を超え、多岐に渡ります。
 
本テキストは、旅行会社だけでなく、観光施設、交通機関、宿泊機関などの観光産業に携わる人や高齢者福祉施設で働く福祉・介護に携わる人にも役立つように配慮して制作しています。
 
ユニバーサルツーリズムをより深く理解するためには、実際に、対象となるお客様(当事者)との接点を持つことが重要だと考えています。今後は、対象となるお客様とお話をしたり、車いす体験・高齢者体験をしたり、一緒に旅行に出かけたりすることによって、理解を深めるようにできるだけしてください。